短期間納品
オーバーホールが短期間で納品が可能な理由
オーバーホールに要する作業日数は何日くらいでしょうか。一般的には約1ヶ月、メーカーでのオーバーホールなら各社に差はありますが、1~2ヶ月くらいで案内されることが多いようです。なぜ1~2ヶ月かかるオーバーホール期間がWACH COMPANYでは短期間(ロレックス3針の場合最短2週間)で実現できているのかご紹介します。
「ゆとり」があり「順番待ち」がない
まず、当社の技術者の1日のオーバーホール数は一般的な機能の時計で4~5個(1個あたり1.5時間)、クロノグラフで2~3個(1個あたり2.5時間)となります。これは有名時計メーカーの アフターサービス部と同じくらいのペースであり、永久カレンダーやトゥールビヨンなどの複雑機構の時計でなければ、1個の時計を分解して洗浄・調整・注油・組立で数日かかるという一般的なロジックが間違っていると言えます。現在、当社の月間受託本数は平均して2,000本程度となっており、当社在籍技術者から平均すると月間2,500本のオーバーホールが可能な状況で、十分なゆとりがあります。この「ゆとり」がなければ、すぐに作業に取り掛かることができず、以前に見積が承認になった時計の「順番待ち」状態になってしまいます。
「短期間納品が可能かどうかは、見積承認から1~2週間そのままの状態で順番を待っているのか、翌日には作業に入れるかによって決まります。」
まずは見積にて…
すべてのオーバーホールが短期間で行えるわけではありません。「購入してから10年以上メンテナンスしていない」「水没して数週間経過している」「他の時計店で修理不可の理由で断られた」「祖父から譲り受けた」など、お預かりするすべての時計が状態の良い時計ではありません。まずは、技術者の厳しい目でムーブメントの状態、故障状況・原因を確認して具体的な作業内容を確定し、原則3営業日を目安に見積もりのご連絡を行っています。中には、オーバーホールに伴い交換が必要となるパーツの入荷に時間がかかる、古いムーブメントや著しい損傷があるムーブメントは、オーバーホール後に念入りにランニング点検を行い、慎重に精度調整をする必要があります。その場合は事前に了承をいただいた上で長めの納期(約6週間)をお伝えすることがございます。また、特殊な機能を備えたムーブメントが搭載されているモデルは、お預かりから見積のご連絡までに1~2週間ほど頂戴する場合もございます。
最終点検にはしっかり時間をかけています。
自動巻がしっかり機能しているか・ゼンマイの持続時間は 十分にあるか・防水は効いているか・精度に問題はないか。当然のことながら、オーバーホール後はしっかり機能の確認をします。ゼンマイの持続時間を実測で計るだけでもおよそ48時間は必要になります。「夜に時計を外して翌朝には止まっていた」といったことがないようにしっかり確認します。もしそこで持続時間が短かったり、精度誤差が許容範囲を超えていたりするようであれば、改めてタイミング調整をして点検し直す必要もあります。
WATCH COMPANYとしてできること。
ではなぜ一般的なオーバーホール期間はおよそ1ヶ月なのでしょうか。おそらく「メーカーさんの納期よりも早く」が基準になっているからだと思います。基本料金にしても、各時計メーカーよりも高く金額設定をしている修理業者はありません。納期も同じように、メーカーよりも早ければ良いとの考えから定着されたものだと思います。事実、私どものような修理業者へ直接ご依頼されず、ご購入された時計店さんへオーバーホール依頼をされる場合でも、だいたい納期約1ヶ月と言われるようです。輸送の日数・時計店さんでの点検・事務処理・担当者さんが完了の電話をするまでの時間など、理由の詳しくは断定できませんが、修理業者が預かっているプラスαの時間が必然的にかかってきます。短期間納品だから作業を簡略化しているのではなく、見積をご承認頂いたら直ちに作業に取り掛かるため「待ち時間がない」だけです。大切な時計を長く手放されるお客さまの気持ちを考えた結果、短期間納品が可能になったということです。