ひげゼンマイとは?
機械式の腕時計はゼンマイや歯車など、様々な部品で構成されていますが、今回は安定した精度を維持するために特に重要な役割を持っている「ひげゼンマイ」についてご紹介します。
ひげゼンマイとはテンプに組み込まれている細い渦巻き状のバネで、伸縮することによってテンワと呼ばれる外周のおもりを規則的に回転(振動)させ、時間を刻みます。特殊な合金で作られているため、切れにくく、形が崩れにくい性質があります。
テンプは振り子の原理が応用されています。テンワがおもり、ひげゼンマイが振り子にあたります。ひげゼンマイが長くなると(おもりが回る周期が長くなるため)遅れ、ひげゼンマイが短くなると進みになります。この周期を変えることで精度を調整することができます。
ひげゼンマイの不具合
ひげゼンマイは姿勢差(時計の向きによって精度が変わること)をなくすために、同心円状、かつ平らである必要があります。
しかし、使用している間に衝撃や強い磁気によってひげゼンマイの渦巻き状の中心がずれてしまうことで精度に影響がでます。※ムーブメント内部の油切れなど、精度に関する要因は様々ありますが、ひげゼンマイの崩れは直接精度に影響します。
また、バネが伸ひている瞬間に強い衝撃が加わるとひげゼンマイが他の部品(主に緩急針やひげ持)に引っかかる状態になることがあります。(ひげ絡み)
ひげ絡みの状態になると、時計が止まる・激しく進むという症状が出ます。
この場合、引っかかっている部分を取り外すことで元通りの形状に戻すことができます。
しかし、引っかかった状態で長期間使用し続けるとひげゼンマイの形状が崩れ、修正できなくなる場合があるため、上記の症状が出た場合はご使用を中止して早めの修理をお勧めいたします。