GMT機能とは
GMT(Greenwich Mean Time)とは、グリニッジ天文台(経度0度)における平均太陽時を指しています。イギリスの標準時で、グリニッジ標準時(平均時)と訳されています。近年は協定世界時(UTC)と同義語として扱われています。
腕時計においては第2時間帯の表示ができる機能として定着してきました。今回はロレックスのGMT機能搭載の時計(GMTマスター、GMTマスターⅡ、エクスプローラーⅡ)の中からCal.3185、Cal.3186を例に取ってGMT機能に起こる不具合を紹介します。
GMTマスターⅡの特徴
1950年代にGMTマスターのファーストモデル(6542)が発表され、1999年にGMTマスター(16700)が製造終了となりますが、1983年には3つのタイムゾーンを知ることができるGMTマスターⅡ(16710など)が発表され、現行のモデル(116710など)でも特徴が受け継がれています。
GMTマスターⅡの特徴としては、短針と24時間針の2か国表示に、ベゼルの回転を組み合わせることで第3か国目の時刻を知ることができます。また、GMTマスターⅡからは、短針を単独で動かせるようになり、操作性が向上しました。
ロレックス/GMTマスターⅡ/16710
1983年に発表されたモデル、2005年に後継機の116710が発表され生産終了となりました。
ロレックス/GMTマスターⅡ/116710
2005年に発表された後継機。ベゼルディスクがセラミック製になりました。ベゼルのクリックは30分ごとに移動するようになり、回転ベゼルの構造も進化しています。
GMTマスターⅡのムーブメントと不具合
GMTマスターⅡは当初はCal.3185が採用されていました。その後、Cal.3186へ受け継がれ、歯車や部品の数が増え、短針を単独で操作した際に起こる他の針ずれや午前、午後での短針のずれが小さくなり、日々の使用への支障が減りました。
Cal.3185
短針を取り付ける筒車の下に24時間車を加えることで、リューズを一段引いた状態で短針のみを操作できるようになりました。
Cal.3186
Cal.3185では24時間車に短針を操作する機能が集中していましたが、部品数を増やしたことで整備性が上がり、部品自体も大きくなったことで時針の位置の精度が上がりました。
GMTマスターは短針を単独で操作する機会が多いため、「短針の動作不良」や、「針ずれ」などの不具合が起こります。短針を操作するアワークリックの破損による故障が多く見受けられます。
新品のアワークリックです。
破損したアワークリックです。アワークリックが破損した状態で操作すると短針がするすると動いてしまい、1時間刻みで動くクリック感がなくなります。
アワークリックは日常的に使用していても破損する恐れがある部品で、現在では改良された部品が使用されています。
アワークリックが破損してしまった場合は、オーバーホールの際に新しい部品と交換することで動作の修復が可能です。動作に異常を感じたらぜひご相談ください!