クロノグラフの動作不良
クロノグラフ(ストップウォッチ機能)の時計は、3針の時計に比べて部品数が多くなっています。部品が多いと不具合が起こる可能性も高くなります。以前、時計修理技術者コラムVol.24 クロノグラフ12時間計の不良について~オメガCal.861編~にて12時間積算計の不具合を紹介しましたが、今回は構造が異なるCal.ETA7750に起こる不具合を紹介いたします。
ブライトリング/クロノマットエボリューション/A13356
2004年に発表されたETA7750を搭載するモデルです。前身のクロノマット2000のケースサイズが39㎜だったのに対し、43.7㎜という大型なケースを採用していました。イタリア空軍の公式クロノグラフとしてもともと開発されていたため、様々な箇所にパイロットの希望が反映されています。回転ベゼル上には「15」「30」「45」の文字が表示されたライダータブが取り付けられていますが、(残り時間を計測する際など)必要に応じて入れ替えができるようになっています。
2009年にはブライトリング自社ムーブメントキャリバー01を搭載したクロノマット44に受け継がれました。
※クロノマット44は修理の受付対象外モデルとなります。
12時間計の不良原因
Cal.ETA7750の不具合の原因としては、
①ストップレバー先端部の摩耗、劣化によって12時間計積算車を止められない
②12時間計積算車自体の不良・破損によるもの
が挙げられます。
①ストップレバー先端部の摩耗、劣化
ETA7750の12時間計ストップレバーの素材はプラスチック(樹脂)が使用されています。ストップ時、リセット時に離れていたストップレバーが金属の歯車(12時間計積算車)を規制しています。長期間の使用によって車と当る先端が摩耗すると歯車を規制できなくなります。摩耗による不具合はストップレバーの交換にて対応することができます。
②12時間計積算車自体の不良・破損
12時間計積算車自体の不良とは、真鍮部分の歯車と、ハートカムが付いているホゾ(軸)部分が分離してしまうというものです。歯車が分離してしまった場合は12時間計積算車を交換して対応します。
クロノグラフを作動させていない状態で12時間計が動作してしまう症状の原因は、上記が大半を占めます。症状が出てしまった場合は専門店に修理を出されることをお勧めいたします。