時計の裏蓋の固定方法
時計の基本構造は、ミドルケースに裏蓋を固定するという方式が一般的です。※一部ワンピース構造など特殊なものもあります。
裏蓋をミドルケースに固定する構造としては、
※ロレックス/サブマリーナ16610
・スクリューバック式 ロレックス、パネライ、ブライトリングなど
裏蓋とケースにねじが切られているタイプです。気密性が高く、防水性能が高いのが特徴です。
※オメガ/スピードマスター3510-50
・スナッチバック式 オメガ、ブルガリなど
裏蓋をプラスチックやテフロン製のパッキンで固定するタイプです。
※フランクミュラー/カサブランカ6850
・ねじ(ビス)止め式 フランクミュラー、カルティエなど
裏蓋をネジで固定するタイプです。
の3つに分かれます。
今回はフランクミュラーのケースを例に取り、ねじ(ビス)止め式の時計について紹介いたします。
ねじ(ビス)止め式の特徴
ねじ(ビス)止め式とは、裏蓋を複数のネジで固定するタイプを指します。
特徴としては、ケースの厚さを薄くできる、ケースの形状を複雑(楕円形、多角形)にできるため、デザイン性に優れた時計に採用されています。
しかし、汚れや汗、水分がねじ部分から侵入しやすいという欠点もあります。
※フランクミュラー/カサブランカ6850
多くのねじ止め式裏蓋は、パッキンの外側にねじを取り付ける構造のため、防水性能が保証されている時計であっても、ケースと裏蓋の隙間から汚れや汗が浸入して、ねじ部分にまで達する場合があります。
長年の汚れや汗によって、オーバーホールや電池交換の時期にはねじやケースのねじ穴に腐食やさびが発生し、ねじがボロボロになり使用できなくなる、さびの固着によりねじが折れてしまうなどの弊害が起こります。
その場合、ねじ交換や、折れ込んだねじの除去が必要になり、修理料金も高額になります。
※フランクミュラー/トノーカーベックスグランギシェ6850S6GG
ねじがさびてケース内で折れ込んでいます。裏蓋にもさびが広がっています。
※フランクミュラー/裏蓋ねじ
新品のねじ(前)と、汚れが蓄積されたねじ(後)です。
※フランクミュラー/裏蓋ねじ
さびが広がり、折れてしまったねじです。
ねじ(ビス)止め式時計の注意点
ねじ部分の狭い隙間に入り込んだ汚れや水分は分解して除去する以外に方法がありません。
そのため、メンテナンスを行っていない状態で長期間使用することで、ステンレススチールのようなさびにくい素材であっても、さびが発生してしまいます。※金無垢素材の場合、変色はしますが、さびが発生することはありません。
時計の動作に特に不具合が無いため、長期間メンテナンスを行っていないと、裏蓋が開かなくなるなどのトラブルにつながる可能性があります。
内部の不具合のためだけではなく、外装の点検のためにも定期メンテナンスをお勧めいたします。