クロノグラフの動作不良
クロノグラフ機能が付いたモデルの修理でよく「スタートやストップの操作ができなくなった」とご相談いただきます。
クロノグラフの故障の原因は様々考えられますが、今回はよく発生する原因をETA7750を例に取りご紹介いたします。
オペレーティングレバーの変形
ETA7750オペレーティングレバー新品(左)、変形したETA7750オペレーティングレバー(右)
オペレーティングレバーが原因でクロノグラフ不良が起こる場合、主な原因としてプッシャー(プッシュボタン)のストロークが当たる部分の変形があげられます。※写真右矢印箇所
正常なものはストロークが当たる部分が垂直になっていますが、不良部品は内側へ曲がっています。油切れなどで、動きが固い状態でプッシャーを押し込むことで変形してしまいます。部品が変形した状態でプッシャーを押し込んでも、ストロークがレバーを稼働させないため、クロノグラフの動作不良が起こります。
変形が僅かなものは修正して部品を再生することができますが、写真のように大きく変形してしまった場合は、修正後も再度変形しやすいため、部品の交換が必要になります。
クロノセンター車のストップレバー不良によるもの
ETA7750ストップレバー/クロノグラフのスタートとストップの操作の際に稼働する部品です。
通常、クロノグラフセンター車のストップレバーは写真のように歯車の側面部分に接してスタートとストップを規制しています。
写真のようにセンター車の上にストップレバーが乗り上げてしまっている状態になると、スタートとストップの規制ができず、クロノグラフが動作しなくなります。
一度この状態になってしまうと、内部修正を行わないと改善することができません。また、この状態でレバー操作を繰り返してしまうと、先に紹介したオペレーティングレバーの変形にもつながってしまいます。
ストップレバーは、矢印部分のバネ部分を調整することで修正を行うことができます。
クロノグラフモデルの注意点
クロノグラフモデルの場合、動作に関連する部品が多いため、1か所不良がある状態で使用を続けると、他の部品も連動して不良を起こすケースが多いです。
プッシャーの操作が固くなったり、反応が悪くなった場合は、早めに時計内部の状態を確認していただくことでトラブルを回避することができます。
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